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  • (c) 2013 raco

    床材


    ここではケージの中に敷くもの、をまとめて床材として扱います。
    床材についても、「絶対にこれ!」というものはありません。
    飼い主が重視することやハリネズミの性格を考慮して試しながら決めることになるでしょう。

    選び方の基本のき

    アレルギーの心配のあるものと危険となりうるものは避ける

    前者は、基本的にはとりあえず針葉樹製のものを避けることです。
    (毒性の点から、後者にも関わってきます)
    調べていると、「針葉樹全般を避ける」という説と
    「杉は駄目だけれど松なら平気」という説が出てきたりします。
    松なら平気説は、確かに松は杉よりアレルギーを発症しにくいことに由来するようです。
    ですが、杉の芳香成分に比べると少ないとはいえ松でもやはりアレルギーが出ることがあり、
    内臓に悪影響を及ぼす可能性も指摘されているので
    やはり針葉樹全般を避けるのがよいでしょう。
    (稀にヒノキを広葉樹と勘違いする人がいるようですがヒノキも針葉樹ですよ。
    ヒノキの香りを謳ったものは猫砂などによくありますね。)
    また、ほこりっぽい細かすぎる破片が混ざっているようなものも避けましょう。

    もちろん、ハリネズミではなく飼い主のほうにホコリなどでアレルギー症状が出ることもありますので
    アレルギー体質の方は自分のことも気にして決めましょう。

    後者、危険なものにあたるは、まずは布など糸の出るもの関係でしょう。
    ほつれて足に絡まる可能性のあるものは危険なので
    布を入れる場合は不織布などの糸にならないものを選びましょう。
    (余談ですが、髪の毛でも糸と同様の事故が報告されているそうですので
    一応髪の長い人はケージの中に髪が落ちないよう注意したほうがよさそうです。)
    また、ほつれなくても毛足のある布で、引っかいたり引っ張ったりするとその毛足が抜けてしまうような布は
    それを食べてしまい、腸に詰まって死んでしまう事故が報告されていますのでそういうものも
    (あなたのハリネズミが食品以外を口にしないことがはっきりしているなら平気だと思いますが)避けましょう。

    また、基本的に固まるタイプのトイレ砂は使わない、とされています。
    目や鼻の粘膜や生殖器付近等にくっついて固まって
    トラブルを起こしかねないためです。
    ですが、ハリネズミの床材として人気のある「トフカスサンド」も固まるタイプの猫砂のようです。
    どの程度気にする必要があるのかは何ともいえません。
    トフカスサンドが生殖器にはまり込んでしまったという報告は何度か見たことがあります。
    個人的にはお勧めしません。
    固まるタイプではなくても、形状によっては生殖器のところにはまり込んでしまうことがあります
    (特に男の子はおなかの中央辺りに生殖器があることもあって、いろいろくっつきやすいです)
    (個人的に使用した中では丸いボール状のシリカゲルタイプの猫砂が最悪でした)
    こちらもトラブルの原因になりかねませんので、頻回にそういうことがあるものは
    使用を中止するべきでしょう。

    その他、やはりハリネズミの性格しだいなのですが
    よく利用されるペットシーツも、かじって中の吸湿体を食べてしまうような子であれば
    利用を避けるか、齧られないようにほかの床材の下に敷くなどする必要があります。
    ペットシーツに限らず、床材などをなんでも口に入れてしまう子は要注意で
    いろいろ試行錯誤しなければならない、ということになるでしょう。
    食べても安心、という安全性の高いものを利用するのも手ですが
    逆にそういうタイプのものはたくさん食べてしまうこともありえますから
    食べにくいものや、もっと食欲をそそらないようなもの、一度齧ってみたら「おいしくない!」と気づいて
    もう齧らなくなるようなものに切り替えるのも手かもしれません。

    そのほか選ぶ基準

    吸水性・吸湿性・消臭効果・掃除のしやすさ・埃の多少(健康に影響)
    健康チェックのしやすさ(白いものが、血尿がわかりやすい)・
    見た目・口にしてしまうかどうか・コストパフォーマンス等 
    ハリネズミや飼い主の個性に合わせて選びましょう。

    具体的各アイテムについて

    新聞紙
    (とっていれば)無料。懐がいたまない分まめに交換しやすく、
    ダニ治療中で毎日交換しなければいけない時などはとても有難い。
    底に敷いたり、細くカットすれば寝床にしたりと利用もしやすい。
    吸湿性・吸水性も高い。
    ほかの床材をメインにしていても、ケージの一番底には新聞紙を敷いているという人は多いはず。
    デメリットとしては印刷・インクの問題があります。
    見た目はいいとはいえないでしょう。
    インクの安全性に関しては、現在大豆からできたソイインクが主流でさほど気にする必要はないようですが
    アルビノの子などは針色が黒っぽくなってしまうそうです。
    (刷ってから時間のたった古新聞だとましなようです)
    「モノクロ印刷のほうがソイインクで安心だからカラーページは使わない」
    という説を時々見かけるのですが
    調べてみたところ、むしろカラー印刷のほうがソイインクの利用率が高いようです。
    ただし、カラー印刷は様々な顔料が含まれているため、そこを問題視するのであれば
    モノクロ印刷を選ぶということにも道理がありそうです。
    総合的に見て、モノクロ印刷のほうが安全性が高いというわけではなさそうです。

    ペットシーツ
    基本的には犬のトイレに敷くものです。
    吸水性が高く、消臭力もあります。掃除もしやすいです。
    衛生的でコストパフォーマンスも高い素材といえます。
    ペットシーツのみにしている人も少なくないようですし
    ペットシーツの上にサンド系の床材を敷く人も少なくないようです。
    掘ったりすることはできないので、ほりほりするのが好きな子には向かないかもしれません。
    下にもぐってしまう子の場合、両面テープなどで固定して対策している人もいるようです。
    どうしてもほりほりして破ったり、かじったりして中身を食べてしまう子だと使用は避けるか
    上にサンド系の床材を敷き詰めるなどして口にしないように工夫する必要があるでしょう。


    猫砂
    一口に猫砂といっても様々な種類があります。
    鉱物系、おから系、木質系、紙系、シリカゲル系など。
    このうち、鉱物系の、ベントナイトのものはがっちり固まるので避けたほうがよいようです。
    木質系のものも、アレルギー対策として針葉樹を避ける観点から避けるべきでしょう。
    シリカゲル系のものは張り付く力が強いようですので固まらなくても注意が必要そうです。
    (球体の粒タイプのものを使ったときに生殖器にすっぽりはまってしまっていたこともありました。)
    おから系は代表的なものにトフカスサンドがありますが
    ハリネズミにはかなり使われているようです。
    固まるタイプの猫砂なのですが大丈夫なのでしょうか?
    個人的にはお勧めしないのですが
    これを書くために検索しているうちに、
    メーカーさんがサンプルとして一袋送ってくれることを知りました。
    こちら
    太っ腹ですね!(お勧めしないけれど)どうしても興味がある人は
    まずこちらを請求して試してみるのがよさそうです。
    紙の猫砂は匂いがつけてあるものなどが結構あるようなので
    そういうものは避けたほうがよさそうです。
    「猫とネコと二つの本棚」さんの
    ネコ砂レポートが、
    とても詳細で市販のネコ砂をほぼ網羅しているのでは?
    と思われるくらいの充実度(現在170種以上)なので参考になりそうです。

    個人的には固まらないタイプの紙のネコ砂とシリカゲルしか利用したことがありません。
    「ハリネズミクラブ」では固まるタイプのものは「決して使わない」という強い表現がされていたので。
    (固まらないタイプ、で探すと極端に種類が少ないんですよね…)
    床材として利用しようと思って購入したのですが
    トイレ砂としても利用したく、トイレとそれ以外の区別はつけたかったので
    結局トイレ砂としてしか利用しませんでした。
    固まらなくても(若干溶けてまとまる感じにはなったので)掃除にさほど不便はなかったですよ。


    牧草(チモシー)
    主にウサギのえさ用に売られているものです。
    まさに干草、乾燥させた草で、草の香りがよく、
    長いタイプのものなどは寝床作りに持ち込む子もいます。
    吸湿性はありますが吸水性はいまいち。
    自然素材で小動物の食べ物として売られているくらいなので安全性は高いと思われますが
    ダニの発生が懸念されます。
    実際、私も初期は利用していましたが、小さな虫の混入を見かけて以来利用をやめました。


    ウッドチップ
    普通に小動物用の床材として売られているものです。
    白樺やポプラなどの広葉樹のものを選びます。
    小動物用でペレットタイプのものも(床材やトイレ砂として?)売られていますが
    こちらは基本的にいわゆるホワイトペレットと同様の素材のようで
    パインなどの針葉樹が原料のようですので
    使用を控えたほうが無難でしょう。


    ニューネイチャーランド
    土タイプの床材で、主にハムスター用のようです。
    特殊なので適当に引っ張ってきた説明文を引用します。
    『尿や糞などの有機物を分解し、持続的に脱臭効果を発揮する安全性の高い床材です。
    生きているバクテリアの働きで、尿や糞などの有機物を分解し、持続的に脱臭効果を発揮します。
    しかも自然の産物で、アレルギー体質の動物にとっても安全性の高い床材です。
    ほとんどの臭い(尿なども)は分解され、無臭で清潔な環境が保てます』
    ハリネズミも掘り掘りしたりして喜ぶことが多いようです。
    便は取り除かないと(ハリネズミサイズだと分解は)無理なようですが掃除の軽減・
    脱臭効果は高いようです。
    しかしながら
    ・高価(初期投資だけではなく、バクテリア液を吹きかけなければいけない)
    ・バクテリアといえば聞こえは良いが、つまりは細菌。果たして衛生的か!?
     (きのこが生えてきたという話も聞いたことがあります)
    ・体に土が付着する(ケージの外に出したりする場合、部屋を汚すことになる)
    といった問題点も目にすると、割と微妙な位置づけのように思います。



    補足:床材の安全性に対する個人的なスタンス
    「針葉樹は避ける」という線に沿って長々と書いていますが
    針葉樹チップを避けるとか、固まるタイプの砂を避けるとか
    どのくらい額面どおりに避ける必要があるのか
    正直よくわかっていないし懐疑的なところもあります。
    あれも危険、これも危ないとやたら振りかざしたり
    過度に0リスクを追い求めるのは、あまり好きではないというのもあります。
    一般に、針葉樹の害についてはかなり強調されていますが
    実際にそれでアレルギーを起こしたという子を
    具体的には今のところ見たことがない。
    アレルギーは確かにあるようだけれど、それがどの程度の頻度で起こるのかわからないので
    極々稀な、普通はあまり考慮する必要のないレベルである可能性も否定できません。

    フェノールの毒性については、ちょっとググったところ
    フェノールの「有害性評価書」というのが出てきました。
    http://www.safe.nite.go.jp/japan/sougou/data/pdf/hazard/hyokasyo/No-32.pdf
    理系ではないですしあまり得意ではないのでさっと見た感じであることを前置きしておきます。
    確かにフェノールについてはさまざまな毒性が証明されているようです。
    ただ、見方によってはごく微量であれば影響がないようにも見えます。
    床材で使うことによってどのくらいのフェノールを摂取することになるのか
    わかりませんが、それほど多量であるとは思えないですし
    ひょっとしたら床材で針葉樹を使うことでフェノールの毒性を危惧することは
    ナンセンスだったりするのかもしれません。

    そんな風にも思うので、「絶対に針葉樹を使っては駄目!」と確信を持って言えているわけではないのです。
    ですが、「大丈夫!」と確信を持っていうことももちろん無いのです。

    とすると、他にたくさんの選択肢がある中で、すごく優れているわけでもなく
    危険性が強調されているこの素材をあえて選ぶ必要性はまったく無いように思うのです。
    逆に言うと、リスクがあるかもしれなくてもそれ以上に
    ほかには変えがたいメリットが(ハリネズミにとって)あるというのであれば
    針葉樹素材の床材を使う選択も、アリなのではないかとも思います。

    さらに逆に言うとそうでないなら、わざわざリスクをとる必要は無いんじゃないの?
    ということでもあり、上に書いているように「針葉樹素材は避けましょう」となるのでした。

    固まる砂に関しては、割とゆるく考えられている感じがあるけれど
    トフカスサンド等が陰部にはまり込んでしまったというようなケースは
    何度か目にしています。(これもそれ以上のことになっているケースは見ていませんが)
    それが元で深刻な病気になるようなことは非常に稀であるのかもしれないし
    それを危惧するのはナンセンスかもしれませんが
    そこを危惧しなくても、普通に、ハリネズミにとってきっと不快でしょう?
    目や鼻や陰部に何かがくっついたりはまり込んだりしている状態なんて…
    そういうことも考えたら、やはり固まる砂系はハリネズミに適している床材とは
    やはりいえないと思うのです。

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